親の介護や一人暮らしが心配になったとき、多くの人が「どんな高齢者施設があるのか知りたい」と感じます。
しかし、名称が似ていたり、サービス内容が分かりづらかったりして、正しい違いを理解できないまま選んでしまうケースも少なくありません。
この記事では、高齢者施設の種類や特徴、選ぶときのポイントまで、初心者にもわかりやすく整理して説明します。
高齢者施設には大きく分けて「介護系」と「住まい系」がある
まず最初に押さえておくべきポイントは、高齢者施設は大きく以下の2つに分類されるということです。
介護が必要な方向けの施設（介護系）
介護サービスを受けられることが前提。
食事・入浴・排せつの介助や、機能訓練などが提供されます。
まだ自立している方向けの住まい（住まい系）
見守りや生活サポートが中心で、介護サービスは外部から受ける仕組み。
この違いを理解しておくと、選ぶ際の方向性が決まりやすくなります。
主な高齢者施設の種類と特徴
高齢者施設は種類が多く、名前も似ているため違いが分かりづらいものです。
ここでは、初心者でもスッと理解できるように、それぞれの施設が「どんな人に向いているか」「どんな暮らしになるのか」を具体的に解説します。
特別養護老人ホーム（特養）
【どんな人向け？】
要介護3以上で、日常生活のほぼ全般に介助が必要な方。
【特徴】
公的施設で費用が比較的安く、入居者の負担が少ないのが最大のメリット。
一方で入居希望者が多く、待機期間が長くなることが一般的です。
【生活イメージ】
介護スタッフが24時間常駐し、食事・入浴・排せつ・見守りまでサポートされます。
医療的な処置が必要な場合も、提携医が対応します。
介護老人保健施設（老健）
【どんな人向け？】
病院を退院した後、すぐ自宅に戻るのが不安な方。
リハビリを重点的に行いたい方。
【特徴】
医師・看護師・リハビリスタッフがいて、**自宅復帰を目的とした“中間施設”**です。
入所期間は数か月〜1年程度が目安で、長期入居が難しい仕組みになっています。
【生活イメージ】
リハビリ中心の生活で、定期的に医師による診察も受けられます。
家庭に戻るための準備期間として利用されることが多いです。
住宅型有料老人ホーム
【どんな人向け？】
比較的自立していて、生活サポートを受けながら自由に暮らしたい方。
【特徴】
生活支援や見守りが中心で、介護が必要な場合は外部の訪問介護を組み合わせるスタイル。
自分に合った介護サービスを選べるため、自由度が高いのがメリットです。
【生活イメージ】
食事サービスがある施設が多く、清潔な個室でゆったり生活できます。
買い物支援や相談サービスなど、日常の困りごとを手伝ってもらえる環境です。
介護付き有料老人ホーム
【どんな人向け？】
要介護状態で、日常生活の多くを施設に任せたい方。
【特徴】
介護スタッフが24時間体制で常駐し、介護サービスが施設内で完結します。
住宅型より費用は高めですが、安心感が圧倒的に大きいのが魅力です。
【生活イメージ】
食事・入浴・排せつなどの介助、機能訓練も受けられ、体調が悪いときも手厚いサポートがあります。
医療機関と提携している場合が多く、医療ケアが必要な方にも向いています。
サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）
【どんな人向け？】
自立〜軽度の介護状態で「見守りが欲しいけど、自由な生活も続けたい」という方。
【特徴】
高齢者向けの賃貸住宅で、安否確認と生活相談が必須サービス。
介護は外部サービスを利用するため、必要に応じて調整できます。
【生活イメージ】
ワンルーム〜小さな1LDKほどの部屋に住み、自宅のように生活できます。
「普通の生活＋見守り」というバランスで、自由な暮らしを望む方に人気です。
グループホーム（認知症対応型）
【どんな人向け？】
認知症があり、家庭的な環境で少人数で生活したい方。
【特徴】
1ユニット9名程度の小規模な生活で、“家の延長”のような暮らしを提供します。
職員が家事・生活のサポートをしながら、認知症の進行を緩やかにするケアを行います。
【生活イメージ】
共同生活の中で、料理や掃除を一緒に行う場面もあり、穏やかに過ごす方が多いです。
地域密着型サービスのため、原則として住み慣れた市区町村での入居が条件になります。
【比較表】
| 施設名 | 入居条件 | 受けられるサービス | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム（特養） | 要介護3以上が原則 | 生活介護全般、リハビリ | 月12〜17万円前後 | 公的施設で費用が比較的安い。入居待ちが長い場合も。 |
| 介護老人保健施設（老健） | 要介護1以上 | 医療ケア、リハビリ、介護 | 月10〜20万円前後 | 在宅復帰を目的とした施設。長期入居は難しい。 |
| 住宅型有料老人ホーム | 自立〜要介護まで | 生活支援、外部サービス利用 | 月15〜30万円前後 | 生活の自由度が高い。外部の訪問介護を組み合わせる。 |
| 介護付き有料老人ホーム | 要支援〜要介護 | 介護サービス一体型 | 月18〜35万円前後 | 施設内で介護が完結。安心感が高い。 |
| サービス付き高齢者向け住宅（サ高住） | 自立〜軽度介護 | 見守り、生活支援 | 月12〜20万円前後 | バリアフリーの賃貸住宅。外部介護サービスが必要に応じて入る。 |
| グループホーム | 要支援2〜要介護 | 生活介護、見守り | 月13〜18万円前後 | 認知症の方が少人数で生活する家庭的な施設。 |
施設選びで失敗しないための3つのポイント
① 介護度・医療ニーズを把握する
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どの程度の介助が必要か
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持病や医療ケアの必要性
によって選べる施設が変わります。
② 家族の生活距離（通いやすさ）を重視する
いざというとき、家族がすぐ駆けつけられる距離かどうかは重要です。
施設の雰囲気も、実際に訪問して確認すると安心です。
③ 費用の総額を“月額＋初期費用”のセットで見る
施設によっては「入居金」が必要な場合があります。
また、介護度が上がると費用も変わるため、長期的な視点で考えることが大切です。
入居までの一般的な流れ
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情報収集（パンフレット、自治体、ケアマネ）
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施設見学・相談
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要介護度の確認
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費用や契約内容の説明
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入居審査
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契約・入居
早めに情報収集しておくことで、いざというときの判断がスムーズになります。
まとめ
高齢者施設は種類が多く分かりづらいですが、「介護が必要なのか」「まだ自立して生活できるのか」という視点で分類すると、選びやすくなります。
費用・サービス内容・医療対応は施設ごとに大きく異なるため、まずは家族の状況を整理し、複数の施設を比較しながら検討することが大切です。
高齢の家族の安心と安全を守るためにも、早めの情報収集と準備をしておきましょう。
