不動産を売る機会は、人生でそう何度もありません。
だからこそ、多くの人が「知らなくて損した…」という失敗を経験しています。
しかし実は、その多くは事前に知っていれば防げるものばかりです。
この記事ではよくある失敗と、その回避方法をやさしく解説します。
1. 相場を確認せず、安く売ってしまう
不動産は一物一価ではなく、エリアによって価格の差が大きいものです。
ところが、提示された査定価格だけを鵜呑みにして売り出してしまい、結果として本来の価値より安く売れてしまうケースがよくあります。
<回避策>
・近隣の成約価格を確認する
・レインズマーケットインフォなどの公的データで相場を調べる
・複数の不動産会社から査定を受けて比較する
相場と査定は必ずしも一致しないため、複数の情報を組み合わせて判断することが大切です。
2. 売出前の準備不足で印象が悪い
売却活動は、実は“見た目の勝負”でもあります。
部屋が散らかったままだったり、古い設備がそのままだと、買主の印象が悪くなり、問い合わせ数が減ることもあります。
<回避策>
・掃除や整理整頓だけでも印象は大きく変わる
・簡単に直せる部分(壁紙の汚れや小さな破損)は補修しておく
・生活感の強い物は減らし、スッキリ見える状態にする
高額なリフォームをしなくても、最低限の準備だけで見え方は大きく改善します。
3. 媒介契約の違いを理解せずに契約してしまう
不動産を売るときには、不動産会社と「媒介契約」を結びます。
しかし、専属専任・専任・一般媒介の違いを理解しないまま契約してしまい、「思っていた売却活動と違った」というミスマッチが起きやすいです。
<回避策>
・3つの媒介契約の仕組みと義務の違いを理解する
・メリット・デメリットを比較する
・自分の売却スケジュールに合う契約を選ぶ
契約内容によって、報告頻度、活動量、情報公開の範囲が大きく変わるため、事前理解が欠かせません。
◆媒介契約の比較表
| 項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
|---|---|---|---|
| 依頼できる会社数 | 複数の会社へ依頼できる | 1社のみ | 1社のみ |
| 自己発見取引(自分で探した相手に売る) | 可能 | 可能 | 不可(必ず依頼した会社を通す) |
| レインズ登録義務 | なし(任意) | 7日以内に登録義務 | 5日以内に登録義務 |
| 報告義務(活動報告) | なし(任意) | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 販売活動の積極度 | 会社により差が出やすい | 比較的積極的 | 最も積極的になりやすい |
| 売主側の自由度 | 最も高い | 中くらい | 最も低い |
| 向いている人 | できるだけ多くの会社に声をかけたい | バランス重視・安心感が欲しい | 時間をかけず、集中的に売りたい |
| デメリット | 責任の所在が曖昧で動きが鈍いことも | 会社の力量に左右される | 売主の自由が最も制限される |
4. 内見対応の仕方でチャンスを逃す
売却活動の中で最も大切なのが「内見」です。
しかし、内見当日に部屋が散らかっていたり、換気がされていないと、買主が“住むイメージ”を持てず、成約のチャンスを逃してしまいます。
<回避策>
・内見前は必ず換気して、部屋を明るくする
・におい対策(生ごみ、ペットなど)をしておく
・柔軟に内見日程を調整し、できるだけ多くの案内を受けられる状態にする
買主が気持ちよく見られる状態をつくることがポイントです。
5. 税金・費用を把握しておらず、手取り額が減る
売却後の“手取り額”が思ったより少ない、と驚く方も多いです。
理由は、税金や諸費用を事前に理解していなかったためです。
主な費用や税金
・仲介手数料
・司法書士費用(抵当権抹消など)
・譲渡所得税・住民税
・測量費(必要な場合)
<回避策>
・売却前に「手取り額シミュレーション」をしておく
・節税につながる特例(3,000万円控除など)を確認
・FPに相談して、お金の流れを整理する
不動産売却は価格よりも「最終的にいくら残るか」が大切です。
まとめ
不動産売却は、準備さえしておけば避けられる失敗がほとんどです。
相場の確認、室内の整え方、契約内容の理解、税金のチェックなど、ひとつひとつを丁寧に進めれば、安心して売却ができます。
不安な点や「自分の場合はどうなる?」という疑問があれば、いつでも相談してください。
大切な不動産だからこそ、納得できる形で売却を進めていきましょう。
