「うちの家族は仲がいいから大丈夫」
──そう思っていても、いざ相続や介護の話になると、思わぬ誤解やすれ違いが生まれてしまうことがあります。実は、“もめない家族”の共通点は、お金の話をタブーにせず、早めに共有していること。
今回は、FPの立場から、親子で上手に「お金の引き継ぎ」を始めるための3つのコツをやさしく解説します。

①「お金の話=悪いこと」という思い込みをなくす
日本では「お金の話をするのは恥ずかしい」「親不孝な気がする」という考え方が根強く残っています。
でも、お金の話は“争うため”ではなく、「守るため」の会話です。
親が元気なうちに「どんな暮らしを望むのか」「財産をどう使いたいか」を話しておくことは、家族への信頼の証。
FPの視点
「話す=不安を解決する時間」だと意識を切り替えること。
最初は雑談の延長でかまいません。
「老後の費用ってどのくらいかかるの?」など、軽い話題から始めるのが◎。
② 「お金の“全体像”を見える化する」
引き継ぎをスムーズに進めるには、まず“家族でお金の地図”を作ることが大切です。
✅ 銀行口座(どこの銀行に、いくつあるか)
✅ 不動産(名義・固定資産税の支払い先)
✅ 保険(満期・受取人・内容)
✅ 借入金・ローンの有無
こうした情報をノートやエクセルで一覧にまとめるだけで、「何がどこにあるかわからない」というトラブルを防げます。
FPの視点
「エンディングノート」や「資産マップ」を家族で一緒に作成してみましょう。
数字の整理が苦手でも、“見える化”が家族全員の安心につながります。
③ 「想い」も一緒に伝える
お金の引き継ぎは、単に“数字の話”ではありません。
「どう使ってほしいか」「どんな未来を望むか」という“想い”を伝えることが、本当の意味での“資産承継”になります。
たとえば──
・孫の教育費に役立ててほしい
・実家はできれば誰かが住んでほしい
・介護が必要になったらこの施設に入りたい
こうした言葉を、エンディングノートや手紙に残しておくことで、家族が迷わず行動できるようになります。
FPの視点
「お金の引き継ぎ=想いの引き継ぎ」。
金額よりも“気持ち”を伝えることが、家族円満の秘訣です。
まとめ
お金の話をするのは勇気がいります。
でも、「元気なうちに話す」ことこそが、家族を守る最良の準備です。
✅ お金の話=安心の会話
✅ 見える化=もめない仕組み
✅ 想いの共有=本当の相続対策
話すことで、家族の絆が深まり、“お金の不安”が“家族の安心”に変わります。
「どう切り出せばいいか分からない…」という方は、FPの立場から“家族が話しやすくなるきっかけづくり”をお手伝いします。
大切なのは、話すことを先送りにしない勇気です。
