家族が亡くなったとき、残された人の生活を支えるために「遺族年金」という制度があります。
とても大事な仕組みですが、種類が複数あり、受け取れる人の条件も細かいため「結局うちは対象なの?」と迷う人が多い制度です。
この記事では、遺族年金の仕組みを できるだけシンプルに まとめて、誰がどんな場合に受け取れるのかをわかりやすく解説します。
遺族年金は大きく3種類ある
遺族年金には次の3つがあります。
① 遺族基礎年金
被保険者(主に国民年金加入者)が亡くなったときに支給されるもの。
② 遺族厚生年金
厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に支給されるもの。
③ 中高齢寡婦加算・振替加算
遺族厚生年金の受給者が一定の年齢になったときに加算されるもの。
ここからは、誰が受け取れるのかを順番に整理します。
① 遺族基礎年金を受け取れる人
遺族基礎年金の対象者は 子のある配偶者 または 子 です。
▼受け取れる人
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子どもがいる配偶者(妻または夫)
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子ども本人(18歳の年度末まで)
▼注意点
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子どもがいない夫婦の場合、遺族基礎年金は受け取れません。
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子どもに障害がある場合は「20歳未満」まで対象が伸びます。
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夫も条件を満たせば受給できます(妻だけというルールはありません)。
② 遺族厚生年金を受け取れる人
遺族基礎年金よりも対象が広いのが遺族厚生年金です。
▼受け取れる可能性がある人
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配偶者(妻または夫)
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子
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父母
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孫
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祖父母
※優先順位が決まっているため、同時に全員がもらえるわけではありません。
遺族厚生年金の「優先順位」
以下の順番で上の人が優先され、該当者がいない場合に次へ移ります。
【優先順位】
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子のある配偶者 or 子
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子のいない配偶者(主に妻)
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父母
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孫
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祖父母
配偶者が受け取れる場合は、父母や祖父母には支給されません。
受給者ごとの条件を簡単に整理
配偶者(妻・夫)の場合
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妻 → 年齢条件は原則なし(ただし子がいない場合は40~65歳の間で条件あり)
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夫 → 妻の死亡時点で 55歳以上(支給開始は60歳)
子の場合
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18歳到達年度末まで
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障害がある場合は20歳未満まで対象
父母の場合
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55歳以上(支給は60歳から)
祖父母の場合
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55歳以上(支給は60歳から)
③ 中高齢寡婦加算とは
40〜64歳の妻が遺族厚生年金だけになった場合に「上乗せ」で支給されるもの。
受給できるケース
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子が成長して遺族基礎年金が終了
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65歳までは加算がある
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65歳以降は老齢基礎年金として切り替わる
④ 振替加算とは
65歳になったときに、老齢基礎年金にプラスして加算される制度。
中高齢寡婦加算を受けていた人が対象になることが多いです。
まとめ:まずは「子どもがいるかどうか」で考えると整理しやすい
遺族年金は非常に複雑な制度ですが、最初の判断ポイントは「子どもがいるかどうか」です。
子どもがいる場合
→ 遺族基礎年金 + 遺族厚生年金 が支給される可能性が高い。
子どもがいない場合
→ 遺族厚生年金のみ が中心。
→ 妻・夫・父母・祖父母の条件で受給が決まる。
制度を正しく理解しておくと、もしもの時に家族の生活を守ることができます。
自分の家庭ではどれが当てはまるか、一度確認しておくと安心です。
