「65歳になったら年金はみんな同じ」と思っていませんか?
実は条件を満たすと、年金に“上乗せ”してもらえる制度があります。
それが加給年金です。
人によっては、年間30万円以上も年金が増えることがあり、知らずに手続きを逃してしまうと、とてももったいない制度です。
加給年金とはどんな制度?
加給年金は、厚生年金に長く加入してきた人が、年下の配偶者などを扶養している場合に、65歳から老齢厚生年金に上乗せされる制度です。
イメージとしては、
👉 「年金版の家族手当」
と考えるとわかりやすいです。
いくらもらえるの?
令和6年度の金額を基準にすると、次のとおりです。
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配偶者(年下の妻・夫):年 約39万円
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子ども1人目・2人目:各 年 約22万円
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子ども3人目以降:各 年 約7万円
※実際の金額は年度によって多少変わります。
特に多いのが、
👉 「年下の配偶者がいるケース」
この場合、年金が年30万円以上増えることも珍しくありません。
| 状況 | 対象となる家族 | 年間の支給目安額 | ポイント |
|---|---|---|---|
| ① 65歳・配偶者が65歳未満 | 年下の配偶者1人 | 約39万円 | 最も多いケース |
| ② 65歳・配偶者65歳未満+子1人 | 配偶者+子1人 | 約61万円 | 子は18歳到達年度末まで |
| ③ 65歳・配偶者65歳未満+子2人 | 配偶者+子2人 | 約83万円 | 子2人までは加算大 |
| ④ 65歳・配偶者65歳未満+子3人 | 配偶者+子3人 | 約90万円 | 3人目以降は加算が少ない |
| ⑤ 65歳・子のみ1人 | 子1人 | 約22万円 | 配偶者がいない場合 |
| ⑥ 65歳・子のみ2人 | 子2人 | 約44万円 | 18歳年度末まで |
| ⑦ 配偶者が65歳到達 | ― | 0円 | 加給年金は終了 |
| ⑧ 配偶者が年金受給開始 | ― | 0円 | 振替加算に切替の可能性 |
もらえる人の主な条件
加給年金をもらうには、次の条件をすべて満たす必要があります。
① 厚生年金に20年以上加入している
会社員や公務員として、厚生年金の加入期間が20年以上あることが前提です。
② 65歳になり、老齢厚生年金を受け取っている
加給年金は、老齢厚生年金がスタートする65歳から支給されます。
③ 扶養している家族がいる
対象となるのは、主に次の家族です。
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65歳未満の配偶者
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18歳到達年度末までの子ども
(または20歳未満で障害のある子)
注意点① 配偶者が年金をもらい始めると終了
加給年金で特に注意したいのが、終了のタイミングです。
配偶者が
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65歳になり
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自分の老齢年金(基礎年金・厚生年金)を受け取り始める
この時点で、加給年金は終了します。
「一生もらえるわけではない」
という点は、必ず押さえておきましょう。
注意点② 自動的にもらえるとは限らない
加給年金は、条件を満たしていても、必ず自動で支給されるとは限りません。
特に次のようなケースでは注意が必要です。
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年金請求時に、配偶者の情報が正しく登録されていない
-
扶養関係の確認が取れていない
結果として、
👉 本来もらえるはずの加給年金が支給されていない
ということも実際にあります。
「振替加算」との違いも要チェック
加給年金とよくセットで出てくるのが振替加算です。
簡単に言うと、
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加給年金:
👉 主に 年金をもらう側(夫など) に上乗せ -
振替加算:
👉 配偶者が65歳になった後、配偶者側の年金に上乗せ
どちらが適用されるかは、生年月日や年金加入歴によって変わります。
こんな人は一度チェックを
次のような方は、加給年金の対象になる可能性があります。
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会社員・公務員として長く働いてきた
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自分は65歳、配偶者はまだ65歳未満
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年金の請求をこれからする、または最近した
「うちは関係ない」と思っていても、意外と対象だったというケースは少なくありません。
まとめ:加給年金は「知らないと損」な制度
加給年金は、条件に当てはまれば年金額が大きく変わる制度です。
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年30万円以上増えることもある
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申請や確認が不十分だともらえない可能性がある
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振替加算との関係も重要
年金は一度決まると、
その後ずっと影響します。
「自分は対象になるのか?」
「年金請求のときに漏れはないか?」
一度、しっかり確認しておくことをおすすめします。
