フリーランスや個人事業主として働く人が増える中、「自宅を仕事場にしている」というケースは珍しくありません。
その際によく出てくる疑問が、「家賃や電気代は経費にできるのか?」という点です。
結論から言えば、事業で使っている部分に限って経費にすることは可能です。ただし、生活費と事業費をきちんと区別し、合理的な計算方法で按分することが前提となります。
この記事では、自宅関連費用を経費にする基本ルールから、具体的な計算方法、注意点までをわかりやすく解説していきます。
自宅費用を経費にできる基本ルールとは
自宅の家賃や光熱費は、すべてが無条件で経費になるわけではありません。
税務上の考え方はシンプルで、
「事業に使っている部分だけが必要経費」
というルールになっています。
つまり、生活と仕事で共用している支出については、事業利用分だけを切り分ける必要があります。この切り分けの考え方を「按分(あんぶん)」と呼びます。
按分とは何か?なぜ必要なのか
按分とは、1つの支出を「仕事用」と「私生活用」に合理的な割合で分けることです。
例えば、自宅の一部を仕事専用の部屋として使っている場合、その部屋が自宅全体の何%を占めているかを基準にして費用を分けます。
税務署が重視するのは、「その割合にきちんとした根拠があるかどうか」という点です。
感覚や適当な数字ではなく、面積や時間など、誰が見ても納得できる基準で計算することが重要になります。
面積で按分する方法(もっとも一般的)
最もよく使われているのが、床面積による按分です。
たとえば、
・自宅全体:60㎡
・仕事部屋:12㎡
この場合、
12㎡ ÷ 60㎡ = 20%
となり、自宅費用の20%を経費として計上できます。
この方法はシンプルで説明もしやすく、税務上も認められやすいため、多くの事業者が採用しています。
時間で按分する方法もある
仕事に使うスペースが明確でない場合は、使用時間による按分を行うケースもあります。
たとえば、
・1日24時間のうち8時間を仕事に使用
→ 8 ÷ 24 = 約33%
このように、仕事に使っている時間割合を基準にする考え方です。
ただし、時間按分の場合は記録を残しておかないと根拠が弱くなりがちなので、業務時間をメモしておくなどの工夫が必要です。
経費にできる主な自宅関連費用
按分を前提として、次のような費用が対象になります。
・家賃
・電気代
・ガス代
・水道代
・インターネット料金
いずれも「事業で使っている割合分のみ」が経費になります。
具体例でわかる経費計算
家賃の場合
・家賃:10万円
・按分割合:25%
10万円 × 25% = 2万5,000円
年間では
2万5,000円 × 12か月 = 30万円
これだけでも、節税効果はかなり大きくなります。
電気代の場合
・電気代:月8,000円
・按分割合:25%
8,000円 × 25% = 2,000円
年間で
2,000円 × 12か月 = 2万4,000円
家賃と合わせると、年間30万円以上が経費になるケースも珍しくありません。
経費にする際の注意点
自宅費用を経費にするうえで、特に重要なのは次の2点です。
根拠ある按分になっているか
面積や時間など、説明できる基準があることが必須です。
証拠を残しているか
・賃貸契約書
・光熱費の明細
・仕事スペースの図面や写真
などを保管しておくと安心です。
曖昧な計算や証拠不足は、税務調査で否認されるリスクにつながります。
自宅経費を上手に使えば節税効果は大きい
自宅を仕事場にしている人にとって、家賃や光熱費の按分は非常に有効な節税策です。
正しく計算し、きちんと記録を残すことで、合法的に税負担を軽くすることができます。
一方で、「全部経費にしてしまう」「根拠のない割合で計上する」といったやり方はトラブルの元になります。
まとめ
自宅の家賃や光熱費は、事業に使っている部分に限って経費にすることができます。そのためには、按分という考え方を理解し、面積や時間など合理的な基準で割合を決めることが不可欠です。さらに、その計算根拠を説明できるよう、契約書や明細書などの証拠をしっかり保管しておくことも重要になります。
自宅経費の扱いを正しく知ることで、確定申告の負担は軽くなり、無駄な税金を払わずに済みます。フリーランスや個人事業主の方は、この仕組みを上手に活用し、賢く節税につなげていきましょう。
