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遺言書がないと相続はどうなる?よくある3つのトラブルをFPが解説

「うちは家族仲がいいから大丈夫」、相続の相談を受けていると、この言葉を聞くことは少なくありません。しかし実際には、相続トラブルは“仲が悪い家族”だけで起きるわけではありません。むしろ、これまで問題なく過ごしてきた家族が、相続をきっかけに関係が悪化してしまうケースもあります。特に注意したいのが、「遺言書がない相続」です。遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合う必要があります。しかし、不動産は預金のように簡単には分けられません。「実家をどうするのか」「誰が住むのか」「売るのか残すのか」こうした話し合いがまとまらず、結果として“争族”になってしまうこともあります。この記事では、遺言書がない場合に起こりやすい相続トラブルや、事前にできる対策について、FPの視点からわかりやすく解説していきます。

 

伊藤宏治

「相続で揉める原因は、“財産が多いから”ではなく、“どう分けるか決まっていない”ことだったりします。」

そもそも遺言書とは?

遺言書とは、亡くなった後に「誰に、どの財産を、どのように残すのか」を意思表示するための書類です。

たとえば、

「長男に実家を相続させたい」
「妻が安心して住み続けられるようにしたい」
「介護をしてくれた子どもへ多めに残したい」

といった想いを形にすることができます。

もし遺言書がない場合は、法律で定められた相続人全員で話し合いを行い、財産の分け方を決めることになります。

これを「遺産分割協議」といいます。

相続人全員が納得できれば問題ありません。しかし、現実には価値観や立場の違いから話し合いが難航することも少なくありません。

特に不動産がある相続では、トラブルになりやすい傾向があります。

遺言書には主に2種類ある

遺言書には、主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。

自筆証書遺言は、自分で作成できるため費用を抑えやすい一方、書き方を間違えると無効になるリスクがあります。

一方、公正証書遺言は、公証役場で作成するため費用はかかりますが、安全性が高く、相続時のトラブル予防につながりやすい方法です。

最近では、法務局で自筆証書遺言を保管できる制度も利用されています。

「自分にはどの方法が合うのか」を早めに整理しておくことが大切です。

遺言書がないと、相続はどう進む?

遺言書がない場合、まず相続人を確定し、財産を調査したうえで、相続人全員による話し合いが必要になります。

ここで重要なのは、「全員の合意」が必要になる点です。

たとえば、兄弟3人で相続するケースを考えてみましょう。

1人でも反対すれば、実家を売ることもできません。

「自分は住みたい」
「売って現金化したい」
「思い出があるから残したい」

このように意見が分かれると、相続手続きが止まってしまう可能性があります。

よくある相続トラブル①|実家をどうするか決まらない

相続トラブルで非常に多いのが、「不動産をどうするか」で揉めるケースです。

たとえば、財産のほとんどが実家だった場合、預金のように均等に分けることができません。

仮に、

  • 実家:2,000万円
  • 預金:300万円
  • 相続人:兄・妹の2人

というケースを考えてみましょう。

兄は「そのまま住みたい」と考えている一方、妹は「売却して現金で分けたい」と考えているかもしれません。

しかし、不動産は真っ二つに分けることができません。

結果として、

「兄が代償金を払う」
「共有名義にする」
「売却する」

などの選択肢を話し合う必要があります。

ですが、お互いの経済状況や感情も絡むため、簡単にはまとまらないケースも多いのです。

よくある相続トラブル②|共有名義で放置される

話し合いがまとまらない場合、「とりあえず共有名義にしておこう」というケースもあります。

しかし、これは後々大きな問題になる可能性があります。

共有不動産は、売却するにも全員の同意が必要です。

さらに、共有者の1人が亡くなると、その持分がさらに次世代へ相続されていきます。

すると、

「誰が所有者かわからない」
「連絡が取れない相続人がいる」
「売却したくてもできない」

という状態になることがあります。

実際、空き家問題の背景には、この“相続による共有化”が関係しているケースも少なくありません。

よくある相続トラブル③|親の本音がわからない

遺言書がないと、「本当はどうしたかったのか」がわからなくなります。

すると、

「長男だから多くもらうべき?」
「介護した私が優先?」
「生前に援助を受けていたよね?」

など、それぞれが“自分なりの正義”を持って話し合うことになります。

相続は、お金だけの問題ではありません。

長年の家族関係や感情が絡むため、些細な一言から関係が悪化することもあります。

だからこそ、遺言書によって「本人の意思」を明確に残しておくことには、大きな意味があります。

伊藤宏治

「“うちは財産が少ないから大丈夫”と思われがちですが、実際には“分けにくい財産”の方が揉めやすいこともあります。」

どんな人が遺言書を書いた方がいい?

遺言書は、お金持ちだけのものではありません。

むしろ、

「実家しか財産がない」
「子ども同士が遠方に住んでいる」
「空き家になりそうな家がある」

こうした家庭ほど、事前準備が重要になるケースがあります。

また、再婚家庭や子どもがいない夫婦など、相続関係が複雑になりやすいケースでも、遺言書の重要性は高まります。

最近は、認知症対策として早めに準備する方も増えています。

判断能力が低下してからでは、遺言書を作れなくなる可能性もあるためです。

遺言書を書くときの注意点

遺言書は、ただ書けばよいわけではありません。

法律上のルールを守れていないと、無効になる場合があります。

また、内容が古くなっているケースにも注意が必要です。

たとえば、

相続人が亡くなった
財産内容が変わった
不動産を売却した

など、状況は時間とともに変化します。

さらに、特定の人へ偏った内容にすると、「遺留分」の問題が発生する可能性もあります。

そのため、相続全体を整理しながら、専門家と一緒に検討することも重要です。

 

まずは“財産の見える化”から始めましょう

「遺言書を書くのはまだ早い」そう感じる方もいるかもしれません。

しかし、まずは財産を整理するだけでも十分意味があります。

どこにどんな財産があるのか。誰に何を残したいのか。実家はどうするのか。

こうしたことを少しずつ整理するだけでも、将来の相続トラブル予防につながります。

また、不動産がある場合は、「売れるのか」「貸せるのか」「維持費はどれくらいかかるのか」なども早めに確認しておくと安心です。

 

伊藤宏治

「相続は、“何か起きてから”では選択肢が限られることもあります。不動産や相続について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。」
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まとめ

遺言書がない相続では、相続人全員で話し合いを行う必要があります。

しかし、不動産は簡単に分けることができず、感情的な対立につながるケースも少なくありません。

特に、

実家がある
空き家になりそう
子ども同士が遠方
家族構成が複雑

という場合は、早めに準備を考えておくことが大切です。

相続は、「財産が多いから揉める」のではなく、「準備不足」で困るケースも非常に多いです。

将来、家族が困らないためにも、一度“相続の整理”を始めてみてはいかがでしょうか。

伊藤宏治

伊藤宏治

宅地取引士として様々なお客様の不動産取引に携わらせていただくとともに、家計管理や将来のお金の不安など、FPとして日々ご相談を受けています。 「自分の家庭の場合はどうすればいい?」と感じた方は、お気軽にご相談ください。オンライン相談にも対応しています。 保有資格:CFP®・宅地建物取引士・リフォームスタイリスト1級

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