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病気の世話をしていたら遺産は余分にもらえるのか?

要件を満たせば遺産を増額させることも可能

遺産分割協議で揉めることが多い案件として、親が亡くなった時「自分だけが面倒を見たのだからその分遺産を増額してほしい」と要求することです。

実はこのような療養看護をしてきた相続人に対して「寄与分」といって法定相続分以上の財産が取得できる制度があります。

寄与分は、病気の世話や介護といった労務だけでなく、家業を手つだうなどして個人の遺産を形成するにあたって協力したというような行為も含まれますが、どちらも無償だったことが条件になります。

従来は法定相続人に限られていました。

相続法改正によって相続人以外の請求も可能に

ところが2019年の相続法の改正によって法定相続人以外でも請求することが可能になったのです。

これを「特別寄与料」と言って、6親等以内の親族や3親等以内の姻族(甥や姪)に認められている権利です。

例えば、義理の親の面倒を見てきた長男の妻などもこれに該当します。

ただし、こちらも無償で労務を提供していたかどうかが要件となっています。

どのくらいもらえるのか?

どのくらいの金額をもらえるかどうかは、寄与の程度や遺産の総額などを勘案する必要がありますが、他の相続人に対してこれだけのことをやってきたんだという証明の為に、無償の労務内容を資料として残しておいた方がいいでしょう。

例えば、介護日誌などがあれば、その介護内容をプロに頼んだ場合の金額を算出すれば具体的な金額提示ができます。

折り合いがつかなかったら?

それでも他の相続人が認めず合意が成立しない場合には、家庭裁判所に申し立てることも可能です。

特別寄与料に関しては個人の死亡した日またはそれを知った日から6か月以内であれば申し立てが可能です。

いずれにしても増額された分にも相続税はかかってきますのでこの点には注意が必要です。

伊藤宏治

伊藤宏治

伊藤営善株式会社専務取締役 保有資格:宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP)、リフォームスタイリスト1級

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