2026年に入り、これまで低水準が続いてきた住宅ローンの変動金利にも、少しずつ上昇の動きが見られるようになりました。
「このまま変動金利で大丈夫だろうか」
「固定金利に切り替えた方が安心なのでは」
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
住宅ローンは金額も期間も大きく、金利の影響を強く受けます。
しかし、金利が上がるからといって、必ずしも「変動は危険」「固定が正解」というわけではありません。
大切なのは、金利上昇時に返済額がどう変わるのかを具体的に知った上で判断することです。
なぜ今、変動金利が上がり始めたのか
これまで変動金利が低く抑えられてきた背景には、長期間続いた金融緩和政策がありました。
しかし、物価上昇や経済環境の変化を受け、金融政策は少しずつ転換期に入っています。
その影響で、住宅ローンの基準となる短期金利も上昇し始め、銀行の変動金利にも反映されるようになってきました。
今後も急激な上昇が続くかは不透明ですが、「金利が上がらない前提」で住宅ローンを考える時代ではなくなっています。
変動金利の返済はどれくらい変わる?【シミュレーション例】
ここで、具体的な数字を見てみましょう。
ケース設定
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借入額:3,500万円
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返済期間:35年
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元利均等返済
① 変動金利0.5%の場合
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毎月返済額:約9.1万円
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総返済額:約3,820万円
② 変動金利1.0%に上昇した場合
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毎月返済額:約9.9万円
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総返済額:約4,150万円
➡ 金利が0.5%上がるだけで
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毎月:約8,000円増
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総返済額:約330万円増
③ 変動金利1.5%まで上昇した場合
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毎月返済額:約10.7万円
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総返済額:約4,490万円
➡ 当初と比べると
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毎月:約1万6,000円増
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総返済額:約670万円増
このように、金利の上昇は「じわじわ」ですが、長期では大きな差になります。
固定金利の場合はどうなる?【比較シミュレーション】
では、最初から固定金利を選んだ場合はどうでしょうか。
固定金利1.5%で35年固定
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毎月返済額:約10.7万円
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総返済額:約4,490万円
金利が上昇した場合の変動金利1.5%と、ほぼ同じ水準になります。
固定金利は将来どれだけ金利が上がっても返済額が変わらないという安心感があります。
変動金利が向いている人・注意が必要な人
変動金利が向いている人
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返済額に余裕がある
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繰上返済を積極的に考えている
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金利が上がっても家計が耐えられる
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将来の収入減少リスクが小さい
注意が必要な人
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返済額が家計ギリギリ
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教育費・老後資金のピークと重なる
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「今の金利の安さ」だけで選んでいる
特に注意したいのは、※「5年ルール・125%ルールがあるから安心」と思い込むことです。
返済額が急に上がらなくても、元金が減らず、後で一気に負担が来るケースもあります。
※知っておきたい「5年ルール」「125%ルール」の基本
5年ルールとは?
変動金利型の住宅ローンでは、金利は半年ごとに見直されますが、毎月の返済額は5年間変わらない
という仕組みがあります。これを「5年ルール」と呼びます。
金利が上がっても、すぐに返済額が上がらないため、家計への急な負担増を防ぐ目的があります。
125%ルールとは?
5年ごとの返済額見直しの際、新しい返済額は、直前の返済額の125%までに抑えられる
という上限ルールがあります。これが「125%ルール」です。
たとえば、
毎月10万円返していた場合、見直し後の上限は12万5,000円になります。
注意したいポイント
5年ルール・125%ルールは、返済額の急上昇を防ぐための仕組みであり、利息の増加そのものを止めてくれるわけではありません。
金利が上がっている間は、
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利息が増える
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元金の減りが遅くなる
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負担が将来に先送りされる
ということが起こります。
ひとことでまとめ
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5年ルール:返済額は5年間変わらない
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125%ルール:返済額の上限は1.25倍まで
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安心材料ではあるが、万能ではない
金利上昇時代に後悔しない住宅ローン戦略
金利上昇時代に大切なのは、「どちらが正解か」ではなく、自分に合っているかです。
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変動と固定を半分ずつに分ける
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変動金利+繰上返済で期間を短くする
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一定期間だけ固定にして様子を見る
こうした選択肢もあります。
また、すでに住宅ローンを組んでいる方は、
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残高
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残り期間
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金利差
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借り換え費用
を冷静に確認し、数字で判断することが重要です。
まとめ|金利が上がっても、住宅ローンは「考え方」で守れる
住宅ローンの金利上昇は不安材料ですが、正しく理解すれば必要以上に恐れるものではありません。
重要なのは、
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金利が上がったら返済額はいくらになるのか
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家計はそれに耐えられるのか
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将来のライフプランと合っているのか
を具体的な数字で確認することです。
住宅ローンは「金利の予想」よりも「家計との相性」が何より大切です。
金利上昇時代だからこそ、一度立ち止まって、自分に合った借り方・返し方を見直してみましょう。
