最近、「FIRE(ファイア)」という言葉をよく聞くようになりました。
十分な資産を作り、会社に縛られず早期リタイアする生き方です。
一見するととても魅力的ですが、日本でFIREを目指す場合、思った以上にハードルが高いのが現実です。
今回は、数字をもとに冷静にFIREの実態を見ていきます。
そもそもFIREとは何か?
FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の略で、生活費を資産収入でまかなえる状態=経済的自立を達成し、その結果として「いつでも仕事を辞められる」状態を目指す考え方です。
ポイントは、「必ず働かない」というより働かなくても困らない状態を作ることにあります。
FIREは単に「1億円あるかどうか」の話ではありません。
本質は、働かずに生活する期間が何年続くのかです。
たとえば
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40歳でリタイア → 90歳まで生きると 50年間
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50歳でリタイア → 同じく 40年間
この期間すべてを、貯蓄+運用で乗り切る必要があります。
なぜ「1億円」という数字が出てくるのか
FIREでよく使われるのが「年間生活費の25倍ルール」です。
これは、資産を年4%で運用し、長期間取り崩しても枯渇しにくいという考え方に基づいています。
例として
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年間生活費400万円
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想定リタイア期間:40〜50年
この条件を満たすためには、約1億円前後の資産が必要という計算になります。
ここで重要なのは、「1億円=贅沢できるお金」ではなく、「50年分の生活費の原資」だという点です。
数千万円でのFIREが危険と言われる理由
仮に30代で5,000万円を貯めてリタイアした場合を考えてみましょう。
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リタイア年齢:35歳
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想定寿命:90歳
→ 生活期間:55年間
年間300万円使えば、単純計算でも
5,000万円 ÷ 300万円 = 約16年
運用益を加えても、途中で資金が尽きるリスクは非常に高いと言えます。
つまり、「若くしてFIREするほど、必要資産は増える」これが現実です。
FIREに必要な金額は「年数」で大きく変わる
FIREの難易度は、次の3つで決まります。
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年間いくら使うのか
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何年間生活するのか
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どれくらいの利回りを想定するのか
特に②の生活年数を甘く見積もると、「途中で働かざるを得なくなるFIRE」になりがちです。

※利回りは4%で想定しています。
実際にFIREした人が強く意識していること
実際にFIREしている人ほど、次の点を非常にシビアに考えています。
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何歳まで生きても大丈夫か
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医療費・介護費が増える時期
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インフレで生活費が上がった場合
「早く辞める」よりも「長く生きる」ことへの備えを重視しているのが特徴です。
日本では「完全FIRE」が難しい理由
日本では
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公的年金は原則65歳から
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国民健康保険・国民年金の自己負担
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物価上昇リスク
があるため、リタイア後40〜50年を無収入で過ごすのは現実的に厳しいケースが多くなります。
現実解としての「サイドFIRE」
そこで現実的な選択肢として注目されているのが、サイドFIREです。
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生活費の一部は労働収入で補う
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資産は減らしすぎない
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リタイア後の生活年数を分散させる
これにより「50年分の生活費を一気に用意する必要」がなくなります。
FIREを考えるなら、まずここから
FIREを目指す前に、ぜひ考えてほしいのはこの問いです。
自分は、リタイア後に何年間生活する想定なのか?
この答えが決まらなければ、必要な金額も、戦略も決まりません。
まとめ
FIREは「資産額」の話ではなく、「人生の残り時間をどう過ごすのか」という話です。
早期リタイアを目指すなら、まずは「年数」を明確にすること。
そこから、無理のない選択肢を考えることが、後悔しない人生設計につながります。
