遺言書の法務局保管制度
自分で遺言書を書いた時に意外と困るのがその保管場所です。
自宅のどこかに保管する場合は、誰かにその場所を伝えておかなければ発見されないままになってしまう恐れがありますし、伝えたら伝えたで改ざんされてしまうリスクがあります。
また、紛失という危険性もあるでしょう。
以前お伝えした公正証書遺言であれば公証役場で保管されるので安心ですが、お金がかかってしまうというデメリットもあります。
2024.01.06
遺言書づくりとその流れについて
遺言の作り方にはいくつか方法があります。すべて自分で書く「自筆証書遺言」と公証役場で作ってもらう「公正証書遺言」の2つが一般的です。 それぞれについて解説します。 自筆証書遺言 遺言書と言えばまずこちらをイメージする人が多いと思います。自分で書く方式なので手軽に作れる反面、いくつかデメ...
そんなお悩みを解消してくれるのが2020年よりスタートした遺言書の法務局保管制度です。
制度を利用することによるメリット
この制度を利用することで、以下のようなメリットがあります。
メリット①法務局において、遺言書が適正に管理・保管してくれ、遺言の形式が民法に定めるものに適合しているかチェックが受けられる
②相続開始後、家庭裁判所による検認が不要
③相続開始後に、相続人が法務局で遺言の閲覧ができたり、遺言情報証明書の交付が受けられる
④死亡時に、通知対象人を指定しておけばその人に通知してくれる(3人まで指定可)
⑤費用が安価(1件につき3,900円)
といったようなことが挙げられます。
50年間はデータで保管してくれるので、一度手続きを済ませてしまえば安心できる制度です。
申請について
申請の手続きは以下の流れで進めます。
- 自筆証書遺言を作成
- 保管場所の法務局を選択(いくつか選択が可能です)
- 遺言書の保管申請書を作成
- 保管の申請を予約
- 法務局に行き、申請書を提出(必ず本人が行く)
- 最後に保管書を受け取る(※再発行不可なので紛失に注意)
保管された遺言書は本人であればいつでも閲覧が可能です(手数料あり)
モニターで閲覧することもできますし、原本も見せてくれます。
安心して預けられるいい制度だと思うのですが、ひとつだけデメリットを挙げるとすると、保管手続きが完了したあとに、住所が変わったりあるいは保管の撤回をしたいといった時でも必ず本人が出向かなければならないということです。
制度を利用する際にはよく検討した上でご利用ください。
さらに詳細を知りたいという方の為に、制度に関するHPも共有しておきます。