死亡前後に勝手に引き出すとトラブルになるかも
故人が銀行などに預けていたお金は、金融機関により一旦凍結されます。
しかし、金融機関は名義人が亡くなったという連絡を受けない限りは口座を凍結しません。
だからといって個人の銀行口座から勝手にお金を引き出しても、引き出されたお金は遺産とみなされ、相続税の課税対象となります。
死亡する前に下ろすことも同様で、ごまかそうとしても金融機関の履歴ですぐに発覚してトラブルの元になってしまいます。
相続人全員の同意があれば引き出しはできる
本来であれば凍結された口座の現金は遺産分割協議がまとまるまでは引き出しができませんが、相続人全員の同意があれば、金融機関の指定する書類を揃えて提出することで預金を引き出すことは可能です。
同意がない場合
では、相続人の同意がとれない場合はどうすればいいでしょうか?
その場合ふたつの方法があります。
①家庭裁判所に申し立てる
②払い戻し制度を利用する
それぞれ見ていきます。
①家庭裁判所に申し立てる
家庭裁判所に申し立てて認可されれば預金の引き出しが可能となります。
ただし、要件として
①遺産の分割の審判または調停の申し立てがあること
②①の事件の関係人の仮処分申し立てがあること
③遺産に属する預貯金債権であること
④相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の至便その他の事情により行使する必要があること
⑤他の共同相続人の利益を害するとは言えないこと
と要件が厳しく、自分で手続きをするのはかなり複雑で、あまり現実的ではないかもしれません。
②払い戻し制度を利用する
もうひとつは1金融機関あたり150万円を限度として預金を引き出す方法です。
下記のような計算式となります。
この場合にはその金額分が遺産分割の際に相続額から差し引かれることになります。
口座の探し方
故人が複数の銀行口座を所有している場合、通帳やキャッシュカードがあればすぐにわかりますが、ネット銀行などでは通帳を発行しない場合もあります。
そんな時には
故人の預金口座の探し方①通帳やキャッシュカードを探す
②金融機関からの郵便物を探す
③個人のパソコンやスマホのメールを確認する
④個人の自宅や会社の近くにある銀行に問い合わせをする
などの方法があります。
遺族の負担を軽減するには
遺言書や財産目録をきちんと残しておくことで、遺族も上記のような手続きや探し物の負担を負うことが無くなります。
「争族」を防ぐ意味でも生前にきちんと準備をしておくことがやはり大事でしょう。