親の相続を進めていると、登記簿を取り寄せた段階で初めて「え?この土地、登記されてない…?」というケースがあります。
特に地方では、祖父母名義のまま何十年も放置されていたり、分筆したまま登記していない土地が残っていたりすることは珍しくありません。
相続登記が義務化された今、未登記の土地が見つかると手続きはさらに複雑になります。
本記事では、未登記の土地が相続財産として見つかった際にどう対応すべきか、放置した場合のリスク、そして早めに動くべき理由をわかりやすく解説します。
未登記の土地とは?
「未登記の土地」とは、所有者が登記簿上に記録されていない土地のことです。
起こりやすい原因は以下のようなものです。
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祖父母や曾祖父母の時代から所有しているが、当時は登記が義務ではなかった
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相続のたびに登記をせず、名義が昔のまま
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家や畑を分筆したが、実際の登記まで進めなかった
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私道や山林など、長く利用されていない土地
未登記の土地は、見た目は普通でも“法的に所有者がはっきりしない”状態にあります。
相続で未登記の土地が見つかった場合、まずやること
未登記の土地を相続する場合、次の2段階で対応します。
① 「誰のものだったか」を証明する
登記簿には何も記録されていないため
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古い権利証
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土地台帳
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固定資産税の課税情報
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地図、測量図
などをもとに、過去の所有者を確認します。
自治体の税務課や法務局で情報が取れることもあります。
② 誰が相続するのかを決めて登記する
未登記のままでは所有者が確定しないため、
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相続人全員で遺産分割協議
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その後、相続登記
という流れになります。
担当する司法書士・土地家屋調査士と連携しながら進めることになります。
放置すると起こる3つのリスク
未登記土地をそのままにすると、以下のような問題が発生します。
① 売却できなくなる
登記がないと、そもそも売買契約が成立しません。
「誰から買ったのか」が証明できないため、買主も金融機関も動けません。
② 相続人が増え、話がまとまらなくなる
10年、20年と経つと
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相続人の人数が2倍、3倍に増える
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連絡が取れない人が出てくる
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海外在住者が現れる
などで、遺産分割が進まない状態に。
未登記の土地は「将来のトラブルの種」になりやすいのです。
③ 税金や管理責任が発生する
固定資産税はかかり続けますし、管理しなければ
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草木が隣地にはみ出す
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不法投棄される
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災害時に倒木の責任を問われる
などリスクが増えます。
「名義がない=責任がない」ではありません。
実際に所有している以上、管理義務は存在します。
手続きに必要な書類や費用の目安
未登記の土地を相続登記する場合、以下の書類が一般的に必要です。
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被相続人の戸籍(出生から死亡まで)
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相続人全員の戸籍
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固定資産評価証明書
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土地の位置がわかる資料(公図など)
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遺産分割協議書
費用は
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登記費用(司法書士)
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必要に応じて測量費(調査士)
などで数万円〜数十万円程度。
土地の状況によって大きく変わるため、早めの調査が重要です。
専門家に早めに相談すべき理由
未登記の土地は自力で解決するのが難しい典型例です。
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古い戸籍の収集
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固定資産税情報の取得
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昔の土地台帳の確認
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測量の必要性の判断
など、専門知識と手続きが多く、時間がかかります。
相続登記が義務化された現在、放置すれば罰則対象となる可能性もあるため、早めの相談が安心です。
まとめ
未登記の土地は「気づいたときには問題が大きくなっていた」というケースが多く、相続のタイミングで発覚することもあります。
放置すれば、売却できない・相続人が増える・管理責任だけが残るなど、デメリットが増えていきます。
ご家庭の相続や実家の片づけで「これ何の土地?」と感じる部分があれば、早めに専門家に確認することで不要なトラブルを避けられます。
相続や不動産の疑問があれば、気軽に相談できる専門家に話してみてください。
