「年金だけで老後は本当に大丈夫なのか」
こうした不安を感じている方は、とても多いと思います。
人生100年時代と言われる今、公的年金は老後生活の土台となる大切な制度です。
しかし、仕組みを知らないままだと、本来もらえる年金を減らしてしまう可能性もあります。
この記事では、公的年金の基本を押さえつつ、年金を上手に増やすための考え方をわかりやすく解説します。
公的年金は「長生きリスク」に備える仕組み
まず知っておきたいのは、公的年金の役割です。
公的年金は、
「長生きしても、一定の収入が一生続く」
という点が最大の特徴です。
貯金は使えば減りますが、年金は生きている限り支給されます。
そのため、公的年金は老後資金の「保険」のような存在とも言えます。
年金額は一律ではない
「年金はみんな同じくらいもらえる」と思われがちですが、実際は違います。
年金額は主に次の要素で決まります。
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どれくらいの期間、保険料を納めたか
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会社員だった期間がどれくらいあるか
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どの年齢から年金を受け取り始めるか
特に見落とされがちなのが、受給開始年齢です。
年金は「いつから受け取るか」で金額が変わる
公的年金は、原則65歳から受け取れますが、実は60歳から75歳までの間で受給開始時期を選べます。
早くもらう場合(繰上げ受給)
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受給額は減る
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早く現金が入る安心感がある
遅くもらう場合(繰下げ受給)
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受給額は増える
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長生きするほど有利になりやすい
たとえば、受給を遅らせると、年金額が大きく増える仕組みになっています。
「長生きする可能性が高い」「他に収入がある」という方には、検討の価値があります。
繰上げ・繰下げ受給の一覧表(月15万円が基準)
| 受給開始年齢 | 増減率 | 月額年金 | 年額年金 |
|---|---|---|---|
| 60歳 | ▲24% | 約114,000円 | 約137万円 |
| 61歳 | ▲19.2% | 約121,000円 | 約145万円 |
| 62歳 | ▲14.4% | 約128,000円 | 約154万円 |
| 63歳 | ▲9.6% | 約136,000円 | 約163万円 |
| 64歳 | ▲4.8% | 約143,000円 | 約172万円 |
| 65歳 | ±0% | 150,000円 | 180万円 |
| 66歳 | +8.4% | 約163,000円 | 約196万円 |
| 67歳 | +16.8% | 約175,000円 | 約210万円 |
| 68歳 | +25.2% | 約188,000円 | 約226万円 |
| 69歳 | +33.6% | 約200,000円 | 約240万円 |
| 70歳 | +42.0% | 約213,000円 | 約256万円 |
| 71歳 | +50.4% | 約226,000円 | 約271万円 |
| 72歳 | +58.8% | 約238,000円 | 約286万円 |
| 73歳 | +67.2% | 約251,000円 | 約301万円 |
| 74歳 | +75.6% | 約263,000円 | 約316万円 |
| 75歳 | +84.0% | 約276,000円 | 約331万円 |
「損か得か」ではなく「自分に合うか」で考える
繰上げ・繰下げ受給は、単純に「得・損」で決めるものではありません。
考えるポイントは次の通りです。
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健康状態
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退職後の収入や貯蓄
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配偶者がいるかどうか
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生活費の見通し
年金はライフプラン全体の中で考えることが重要です。
年金を増やすために今できること
年金を賢く活かすために、現役世代のうちからできることもあります。
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年金記録を定期的に確認する
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ねんきん定期便をしっかり読む
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退職後の働き方を考えておく
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公的年金だけに頼らない資金準備をする
年金は「老後になってから考えるもの」ではありません。
早めに知っておくことで、選択肢が広がります。
まとめ:年金は「知っている人」が有利
公的年金は、とてもよくできた制度です。
ただし、仕組みを知らないと活かしきれないのも事実です。
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年金は一生続く大切な収入源
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受給開始時期で金額が変わる
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自分の生活に合った選択が重要
老後の不安を減らす第一歩は、「正しく知ること」です。
今のうちから年金について考えておくことが、将来の安心につながります。
